国際環境研究協会ニュース
2007年3月1日号(第129号)
Contents
  1. 協会業務報告
  2. 第5回「AIRIES環境懇話会」開催のお知らせ
  3. AIRIES随筆(12)-生気象学とは?-
    医療法人向陽会ひかりの里クリニック院長 会誌編集委員 入來正躬
  4. 環境研究最前線(13)
    環境技術開発等推進費の新規採択課題の紹介
  5. 業務日誌
協会業務報告
「感覚環境設計に関する調査業務」の実施と思い
片山 徹(専務理事)

 花粉症の季節が到来しました。3月上旬は花粉の飛散がピークを迎えるそうです。2月の28日も陽気のよい天気でした。この日は、東京は朝の最低気温が平年を約6度も上回る9度でした。初雪も東京都心ではまだ観測されていません。明治9年以降、雪なしの冬となるのは確実だそうです。気象庁は、2月22日に「春も暖かく、夏も暑い」という予報を発表しました。温暖化による気象異変の気配に思いを馳せるこの頃です。

 さて年度末となり、当協会の全ての事業は最終ラウンドを向かえ、スタッフ全員がこれに対応しています。このような中で3月23日は第2回通常理事会・総会が開催されます。審議案件は平成19年度事業計画と事業予算です。公益法人改革の潮流にあって来年度協会運営を如何に進めていくか、そのあり方について全員で知恵を絞りながら事業計画と事業予算の原案作りについて検討を行っています。

ところで平成18年度事業として感覚環境設計に関する調査業務を実施することとなり、調査チームは北から南へと席を暖める間もなく全国を行脚しています。この調査は、環境省がまとめた平成17年度「感覚環境の街作り」報告書に基づき、その内容をさらに深め発展させるために国内、海外の先進的な取組みの状況、専門家や人材の活動状況、必要とされる人材の要件等知見の収集を行うものです。

わが国は、大規模な都市更新の時代に入ってきています。この観点から、「感覚環境の街作り」報告書は、@環境共生型の第二世代の都市に再編していくためには、都市住民のニーズが量から質に転換していること A現在の都市活動が地球温暖化をはじめとした新たなタイプの広域的な環境問題の大きな原因のひとつとなっていることから、@都市更新の機会を捉えて「環境ニーズ」の実現 A街作りに感覚環境(熱、光、かおり、音など)のデザインセンスを入れる B「良好な風」「文化的価値を生み出す街の灯り」「草木や花の香り」「川のせせらぎや虫の音」といった都市内に点在するより広範な環境要素に着目した環境設計型の対応に目を向ける Cこのためには、「環境主導型」の街作りに転換していく発想が必要であり、「住民主導」の街作りという観点を生かすことが重要 という内容になっています。 この報告書の狙いは、「環境の街作り」を推進していく上で、地域固有の環境要素の再発見、直接体験における五感経験を土台とした街作り、感覚環境の総合デザイン、各分野の専門家の連携の必要性にあるといえます。

 私は以前に水環境と音環境の相互関係について考えたことがあります。人が水に対してアプローチする方法は、根源的には人間の五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)により水との触れ合いを求めていると思っています。”空にさえずる鳥の声・・・(「美しき天然」※)”という歌謡があります。明治時代に作詞されたもので、メロデイは「あのサーカスに関係のある・・・」といえばお分かりでしょう。武島羽衣という人の作詞によるもので、彼は有名曲「花」を作詞しました。

 この歌詞には、鳥の声、滝の音、波の音のような音環境と水環境の渾然一体となったサウンドスケープの世界が展開されていることを実感することができます。かつては各地にこのような環境要素の総合化されたすばらしい自然環境が多く存在していました。その後近代工業社会に突入し、都市は工場騒音や交通騒音に満ち溢れ、四季折々変化する自然や多様な生き物が発する様々な音に対して聞く耳を持たなくなりました。今、再びその反省に立って都市再生の時代を迎えています。「水百選」「音百選」「かおり百選」が国民に歓迎されているのもその一端でしょう。

 「感覚環境の街作り」は、このような都市と環境のあり方の歴史的転換期にふさわしい課題だと思っています。

※「美しき天然」(作詞:武島羽衣・作曲:田中穂積)

第5回「AIRIES環境懇話会」開催のお知らせ

 この度、会員の方を対象に会員相互の交流を図ることを目的として、「AIRIES環境懇話会」を開催いたしますので、ご案内申し上げます。
 今回は第5弾として、環境省総合環境政策局環境研究技術室より 室石泰弘 室長をお招きし、“環境研究技術の動向について”お話しいただきます。何卒、会員の皆様におかれましては、ふるってご参加下さい。
 誠に恐縮でございますが会場の都合により、先着30名とさせていただきますので、お早めにお申し込み願います 。

★開催要領★
1. 日   時: 平成19年3月23日(金)15:30〜16:30  
2. 場   所: 芝パークホテル 別館2Fローズの間
東京都港区芝公園1−5−10
TEL 03−3433−4141(大代表)
会場案内図:http://www.shibaparkhotel.com/access/
3. プログラム: (参加無料)      
15:20 受付開始    
  15:30〜15:35  開会挨拶 (社)国際環境研究協会 片山専務理事
  15:35〜16:30  講 演    
    テーマ 「環境研究技術の動向について」
    講 師  環境省総合環境政策局環境研究技術室 室長
      室石 泰弘 氏  
  16:30 閉  会    
  16:50〜18:00 懇親会 会場:(社)国際環境研究協会内会議室
アーバン芝公園ビル4F
参加料1,000円 当日申し受けます。
4. 応募方法:

参加申込書(PDFファイルでダウンロードできます)にご記入の上、FAXまたはEメール(申込み用紙の項目をお忘れなく記載願います。)で3月20日までにお申込みください。
(お申し込み、お問い合わせ先)
〒105-0011 東京都港区芝公園3−1−13
(社)国際環境研究協会 AIRIES環境懇話会事務局
電話 03-3432-1844 FAX 03-3432-1975
E-mail: airies@airies.or.jp

AIRIES投稿コーナー
 AIRIES随筆(12)

  研究では最近は特に「学際的研究」、いくつかの異なる学問分野がかかわった研究、の重要性が強調されている。もともと私は学際的研究に興味があり、いろいろの学会・研究会に参加させていただき、楽しませて頂いた。現在も生理学会、生気象学会、自律神経学会、老年医学会、基礎老化学会などの名誉・特別会員である。これらいろいろの学会の中で、環境の問題では特に生気象学会が、私にとって大変愛着のある、重要な学会である。私は国際生気象学会の副会長を9年、学会誌編集長を6年つとめ、さらに明年2008年9月には東京で開催される第18回国際生気象学会議の会長をつとめることになっている。

  この機会に「生気象学」の大要を紹介させて頂きたい。

  生気象学研究を目的とする第1回の国際的な研究者の集まりは、1956年8−9月にパリで行なわれ、International Society of Bioclimatology and Biometeorology 国際生気象・生気候学会と名付けられた。この学会の名称は、1963年にInternational Society of Biometeorology 国際生気象学会と変更された。気候学は気象学の1つの部門なので、特に名称に加える必要はないとの主張であった。この国際学会の立ち上げなどでは、Prof. Solco W. Tromp 〔オランダ〕などが主導的な役割を果たしている。

  日本での生気象の研究は終戦直後の昭和21年(1946)に久野寧先生が「季節変動に対する生理的反応に関する総合研究班」を発足させたことに由来しているとされる。その後季節変動のみでなく、広く環境の生体への影響に興味を持つ研究者が増え、昭和37年(1962)12月に第一回の会合が京都で開かれ、日本生気象学会が発足した。学会誌は日本生気象学会雑誌と名づけられた。この立ち上げなどでは、久野寧先生、吉村寿人先生などが主導的な役割を果たされた。

  このように「日本生気象学会」の名称は1962年より用いられ、その活動によって「生気象学」の概念が整理されてきた。生気象学会誕生の頃の「生気象学」の定義のいくつかを紹介しておく。

1 地球規模の物理的、化学的環境と、生物、植物、動物、人との間の直接的、間接的関係についての研究が含まれる。環境という言葉は広義に用いられており、微小環境、巨大環境、宇宙環境およびこれらの環境の包含する多様な物理的、化学的要因がふくまれる。(Int. J. Bioclimatology & Biometeorology Vol. 1, 1957)

2 生気象学は生態学の1分野である。植物の根の生えている土壌環境より胞子の飛んでいる大気にいたるまでの自然環境のほかに、ビルヂング、地下道、潜水艇、人工衛星などの人口環境をも含めての、環境の物理的、化学的条件の生体に及ぼす影響を研究する学問。(吉村寿人 日生気誌 Vol.1,No 1 1966参照)

3  研究分野により:植物生気象学、動物生気象学、人体生気象学、宇宙生気象学、古気象学。(吉村寿人 日生気誌 Vol1, No 1, 1966 参照)

  簡単には、「大気に含まれる物理的、化学的環境条件が、生体に及ぼす直接、間接の影響を研究する学問」とまとめる事が出来よう。 現在問題となっている地球温暖化の問題は、生気象学に興味を持つ研究者の古くからの研究目標のひとつであり、その研究成果の蓄積を用いていろいろの分野での活躍が期待されている。

  2008年9月には、東京で第18回国際生気象学会議を行なうこととなり、その準備を始めている。200−300人程度の小規模の国際学会だが、外国の、しかも専門の異なる研究者との討論になれた参加者との意見の交換によって、生気象学研究の面白さを満喫して欲しいと願っている。

協会ニュースに会員からの投稿を募集中!

協会会員相互の交流の場として、会員の皆様からご執筆頂いた文章を掲載するコーナーを設けております。 内容は近況報告、趣味、雑感、研究状況、協会業務の改善の提案等、また、法人会員の場合には活動の紹介も含め、 協会ニュースの1頁程度(約1,600字程度)を想定しています。なお、本協会ニュースは、会員の皆様に配布されると同時に、 協会のホームページに公開されますので、ご承知おき下さい。

環境研究最前線(13)
環境技術開発等推進費の新規採択課題の紹介

竹下 俊二(プログラムオフィサー)

前々号、前号では環境省の環境技術開発等推進費で、平成18年度に新たに採択された基礎研究開発領域および実用化研究開発領域を紹介してきた。本号では、今年度に新設されたアスベスト飛散抑制対策に資する技術開発領域の4課題(研究期間2年)を紹介する。

1 大気中石綿濃度測定のためのサンプリング装置の開発及び自動計数システムの構築
(研究代表者:大阪大学大学院 井上義雄)

〔研究目的〕
現在、環境大気中の石綿濃度測定法のサンプリング法としてろ過法が採用されているが、規定条件(10L/min、4時間捕集)ではサンプリングに長時間を要するため、解体工事現場での管理の良否を判断する場合致命的な欠陥となる。また、計数を妨害する微細粒子を分離除去しない限り、高精度測定は望めない。一方、石綿計数には位相差顕微鏡による肉眼計数法が採用されているが、従来から測定結果のばらつきが指摘され測定法としての信頼性が疑問視されてきた。各方面でクロスチェックも実施され、その結果測定者の技術不足もさることながら、個々あるいは計数機関間の石綿同定基準の差異にそのばらつきの主因があることが示唆されているにもかかわらず、日本においては測定精度管理が一元的になされていない。

〔研究概要〕

(1)サンプリング装置の開発
高流量・低圧損が期待されるサイクロンを採用することにより、サンプリング時間を4時間から10分へと短縮を図る。また、微細粒子を分離除去し小面積中に石綿を捕集することにより高密度化したクリアな試料を作製するサンプリング装置を開発する。

(2)自動計数システムの構築
教師信号を伴い学習機能を有するニューラルネットワーク(3層階層型)アルゴリズムを用い、石綿同定に熟練者の高度な知識(コツ・ワザ)を組み込むことにより、同定の信頼性を高め、かつ個人あるいは計数機関間の計数基準の差異を解消した自動計数システムを構築する。

(3)石綿同定のための技術構築
兵庫県をコアとして国内の各自治体及び計数機関相互をネットワークで結び、石綿計数に携わっている熟練者を中心に、各自の持つ知識の共有化、フィードバックによる測定精度向上及び管理に向けたデータベースを構築する。また海外の研究機関との連携の体制づくりをする。一方、計数精度を高めるため共有知識を自動計数システムへフィードバックする。
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2.空気中繊維状粒子リアルタイム検出法におけるアスベスト粒子検出確率向上技術に関する研究
  (研究代表者:情報通信研究機構 板部敏和)
 

〔研究目的〕
 空気中に浮遊する繊維状粒子を光散乱計測によってリアルタイムに検出する装置は、1991年〜1996年に環境庁国立機関公害防止等試験研究費により研究開発を行い、現在製品化が進められている。この装置は、アスベスト粒子をリアルタイム検出できるため、その時その場で、警報を出せるという意味で非常に有用であるが、アスベスト以外の繊維状粒子も検出するという弱点があった。そのため、リアルタイム検出法において、アスベスト粒子検出の確率を大幅に向上させるため、従来技術では未解決であった一般空気中に浮遊する有機繊維やロックウールなど人造鉱物繊維等のアスベスト以外の繊維状粒子を計測、除外する技術の研究開発を行う。

〔研究概要〕
空気中繊維状粒子のリアルタイム検出法に、繊維状粒子の検出の安定化を計りながらアスベスト以外の繊維状粒子の計測を除外するための要素技術を開発し、これらを統合してアスベスト粒子検出の確率を大幅に向上させた、リアルタイム検出装置のためのモデルを開発する。また、その性能評価実験を行い、その技術を確立する。

(1)散乱光の高感度光検出技術の研究
光散乱を検出する最も高感度な検出法は、コヒーレント検出手法を用いる方法であり、繊維状粒子からの光散乱の検出において、光電管よりもより安定な半導体検出器に同手法を用いることで、半導体検出器を用いながら検出精度を極限まで高める技術の研究開発を行う。

(2)有機物繊維状粒子の除外技術の研究
空気中繊維状粒子のリアルタイム計測装置に吸引される、空気中に含まれる衣服の繊維、植物性繊維等の有機物繊維を、物理的に除外する技術の研究開発を行う。

(3)光散乱によるロックウール粒子等の除外技術の研究
ロックウール、ガラスウール等の人造鉱物繊維粒子は、アスベスト粒子に比較して粒子径が大きく、直線的形状を持ち、屈折率が異なることに基づいて、散乱光特性の違いを検出し、その受信信号を解析することにより、ロックウール等を除外する技術の研究開発を行う。

(4)繊維状粒子群による光散乱の偏光時間応答特性に関する研究
アスベスト粒子が束になっている場合などは、人造鉱物繊維と同様の大きい粒子径を持つことが考えられるため、このような場合に対する光散乱理論によるシミュレーションを行い、散乱光の偏光時間応答特性の測定データを用いて、人造鉱物繊維などを除外する方法の研究開発を行う。

(5)光散乱法のPCM法および分散染色法による較正技術の研究
アスベストの標準粒子を始め、有機物繊維状粒子、ロックウール等の人造鉱物繊維など、各種繊維状粒子に適した発生技術とメンブランフィルターによる捕集技術を開発し、光散乱による繊維状粒子のリアルタイム検出装置の性能評価技術を研究開発する。

3.気中アスベストの位相差顕微鏡自動計数システムの開発に関する研究
 (研究代表者:柴田科学株式会社 斉藤恒生)

〔研究目的〕
 位相差顕微鏡を用いた目視によるアスベストの計数手法(PCM法)は、測定に時間を要すること、観察者の熟練度や疲労度により計数結果が左右されること、作業負荷が高いことなど問題点も多い。また、近年の建物の解体などに伴うアスベスト飛散に対する社会的関心の高まりは、気中アスベストの分別計数需要を急激に高めているものの、需要をまかなうだけのアスベスト計数熟練者を確保しきれていないのが現状である。従って、アスベストの顕微鏡観察を自動化することで、これらの問題点を解消する必要がある。本研究開発では、気中アスベストの繊維計数を完全自動化すること、具体的には、気中アスベストの捕集、標本作成、顕微鏡画像撮影、画像解析、データ解析を連続的かつ自動的に行うためのシステム開発を目的としている。

〔研究概要〕
  気中アスベストの捕集ユニット、標本作成ユニット、標本観察ユニット、自動計数ユニットから構成される気中アスベストの位相差顕微鏡自動計数システムの開発を目的としている。 。

(1)アスベスト標本観察ユニットの開発
アスベスト標本の顕微鏡画像を自動的に取得するための位相差顕微鏡ユニットを開発する。

(2)アスベスト自動計数ユニットの開発
アスベストの位相差顕微鏡画像および分散染色画像を自動的に解析するアルゴリズムおよびソフトウェアを開発する。

(3)標本作成ユニット、気中アスベスト捕集ユニットの開発
自動計数システムの周辺装置、すなわち、気中アスベストを捕集するための空気捕集ユニット、およびアセトン蒸気発生装置や低温灰化装置から成る標本作成ユニットを開発する。

(4)システム全体の評価、改良に関する研究
システム全体の評価および改良を行う。



4.アスベスト飛散防止用封じ込め工法の開発
 (研究代表者:住友大阪セメント株式会社 若杉三紀夫)

〔研究目的〕
 本研究開発は、従来よりも安全性の高いアスベスト封じ込め工法および材料の開発を主目的とし、この工法で使用する材料は、1)無害化処理剤、2)浸透固化剤、3)表面被覆材の3種類で構成される。第1段階で使用するアスベストの無害化処理剤の効果により、将来の解体・撤去時の安全性を確保するのみならず、施設使用中に剥落した場合でも安全性を確保することができる。本研究開発では、アスベストのタイプ(吹き付け、保温材、成形板など)に応じてアスベストの無害化処理を含む封じ込め工法を開発し、施工マニュアルを確立する。さらに開発する工法はアスベストを無害化し、含有率を抑えることから、解体・撤去時の飛散防止対策及び廃棄物処理を簡素化することが期待できる。

〔研究概要〕
 本研究開発のアスベスト飛散防止用封じ込め工法は、以下の3種類の材料から構成される。個々の材料開発においては、出来る限り環境負荷が少なく、人体への安全性に優れる素材とし、また、それらを効率よく施工する工法、施工機械等の開発にも取り組むものとする。

1)無害化処理剤…アスベストを含有する吹付け層等に浸透、含浸してアスベストの針状結晶に作用するなどして無害化する。
2)浸透固化剤…封じ込め用の表面被覆材が十分に付着するよう、浸透固化してアスベスト吹き付け層の表面強度を確保する。
3)表面被覆材…セメントまたは石膏を結合材にポリマーを複合化させた水系材料で表面を被覆し、飛散を防止する。

(1)無害化処理剤の開発
アスベストの針状結晶に化学的に作用することによって無害化する機能を有する薬剤を開発する。米国の無害化処理剤ではクリソタイル・アスベストを用いた比較的施工厚の薄いものを対象としており、 クリソタイル以外のアスベストにも有効かつ浸透力を高めた融解剤を開発し、無害化が可能な吹き付け厚を確認する。効果の確認は、処理されたアスベスト繊維の結晶状態を電子顕微鏡観察により直接観察し、 また粉末X線回折装置を併用して定量的な評価を行う。

(2)浸透固化剤の開発
表面被覆材が十分に付着するよう、浸透固化してアスベスト吹き付け層の表面強度を確保するような機能を有す薬剤を開発する。無害化処理後の施工面は強酸性を呈しており、浸透固化剤には耐酸性が必要となる。 また溶剤系ではなく非溶剤系または水系材料で開発し、出来る限り環境負荷が少なく、人体への安全性に優れる素材を適用する。効果の確認は処理されたアスベスト吹き付け層またはその模擬試験体を直接、 引張り試験に供して評価する。暫定的な目標性能として0.3N/mm2以上の引張り強度とする。

(3)表面被覆材の開発
セメントまたは石膏を結合材にポリマーを複合化させた水系材料で、付着性に優れ、かつ軽量で重量負荷の少ない表面被覆材を開発する。浸透固化させたアスベスト吹き付け層への付着強度の目標値は、 浸透固化層の引張り強度の目標値と同じく0.3N/mm2以上とする。表面被覆材の付着強度、表面性能については種々の耐久性が必要とされるため、耐候性試験、温冷繰り返し試験等を行って評価する。

(4)施工方法の開発
無害化処理剤および浸透固化剤の施工に関しては、開発された薬剤に適する効率のよい施工方法および施工機械を検討し、開発する。米国では低圧バブルスプレー工法により泡状に吹付けて使用されているが、 わが国ではアスベストの施工面が厚い吹付けが多く、これらに適用できる、さらに安全性の高い施工方法を確立する。さらに、無害化処理剤などの乾燥に時間を要するため、これを短縮する乾燥工程を織り込んだ施工を開発する。 一方、表面被覆材の施工に関しては、できるだけ既存の施工方法、例えばスプレーガンやエアーレス吹き付け機等の施工機械が適用できるように、施工方法を開発する。

業務日誌(2007年2月)

2/1 (木)
研究開発推進会議に出席(航空会館)
(独)国立環境研究所にて「環境儀」打合せ
2/2 (金)
:担当研究課題の進捗状況調査(草加市)
2/6 (火)
:担当研究課題の進捗状況調査(つくば)
環境省にて打合せ
担当研究課題のアドバイザリーボードに出席
2/7 (水)
地球環境研究総合推進費第1研究分科会・事前評価会議(戦略S-5)に出席(三田共用会議所)
2/8 (木)
:統計数理研究所セミナーに出席
環境省にて打合せ
(独)国立環境研究所の情報研究会に出席
2/9 (金)
:リモートセンシング学会理事会に出席
(独)国立環境研究所の情報研究会に出席
2/13 (火)
環境省にて追跡評価業務打合せ
感覚環境業務検討委員へのヒアリング調査
環境省にて感覚環境業務打合せ
東京大学にて会誌編集打合せ
2/14 (水)
:税務研修会に出席
感覚環境業務検討委員へのヒアリング
(独)国立環境研究所にて健康班打合せ
担当研究課題のアドバイザリーボードに出席
環境省にて中間評価結果協議に出席
2/15 (木)
:感覚環境検討会開催(協会)
担当研究課題のアドバイザリーボードに出席
2/16 (金)
:新技術発表会(JST)に参加
2/19 (月)
:地球環境研究総合推進費第1研究分科会・事前評価会議に出席(環境省)
2/19 (月)
〜20(火):担当研究課題の進捗状況調査(岡崎)
2/20 (火)
:環境省・PD・PO打合せ
2/21 (水)
:環境対策型CDM勉強会(協会)
担当研究課題のアドバイザリーボードに出席
酸性雨東京講演会に出席
2/23 (金)
:新彊ウイグル環境変動シンポジウムに参加(千葉大学)
担当研究課題のアドバイザリーボードに出席
担当研究課題の進捗状況調査(つくば)
2/26 (月)
:地球環境研究総合推進費企画委員会に出席
担当研究課題の進捗状況調査(立命館大学)
2/27 (火)
:研究開発評価シンポジウムに参加
(独)国立環境研究所にて大気領域打合せ
担当研究課題のアドバイザリーボードに出席
担当研究課題の進捗状況調査(京都大学)
(独)国立環境研究所にて「環境儀」打合せ
2/28 (水)
:担当研究課題のアドバイザリーボードに出席
感覚環境業務ヒアリング(京都市役所、秋田県庁)


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